せっきーの日記

ドラマ『アライブ』を語るために始めました。主にドラマについて語ります。

恋愛ドラマに新たな風を!『着飾る恋には理由があって』に視聴者が熱狂する5つの要素とは!

 

 

…あのキャスト発表の方法はなんだったのか。

 

 

ここでピンと来た人、素晴らしい。そう、

『着飾る恋には理由があって』の話だ。

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情報社会の現代で、まさかの「キャストのヒントを出しながら徐々に発表していく」というスタイルを取った本作、ヒント1つ目で横浜流星だと気付くファンたち。そりゃそうだ、推しの事ならほとんどの事は分かる。『コントが始まる』の中浜さんだって、マクベスが結成される前のインタビュー記事まで読み漁っていた。推しの事なら何でも来いだ。そしてそのヒントツイートのリプ欄に集まる人たちのアイコン…(自分が見たところ横浜流星の名前を出している人はいなかったので、ファンの方のモラルは素晴らしい、やっぱりこの発表方法が間違いなのでは…という結論に行き着く)え、これもう確定やん。主役横浜流星やん。これあと何個かヒント出していくだろうけど虚しくならんか?もう分かっとるで?大丈夫かこのドラマ?SNSインフルエンサーがヒロインなんやろ?なにこれ盛大なフリ?


なんて心配をよそに、放送が始まってから見事なまでにハマってしまった私。疑ってごめんなさい。ドラマが面白い。実況が楽しい。星野源が強い。実況が楽しい。


遂に私は、1ヶ月ほど前にブログを書いた作品についてもう一度ブログを書くという暴挙に出る。ちなみにこの記事が私の中で6つ目の記事、実に3分の1がこのドラマについての記事になる。いや大好きやん。


普段はドラマ実況をしてワーワー言ってる私だが、今回は真面目にこのドラマの素晴らしさを考察してみたい。8話で「競馬実況みたい」と言われた私が、実は冷静沈着理路整然とした人間である事を示すためにもこのチャンスを逃すわけにはいかないのだ。冷静沈着理路整然とした文章で、冷静沈着理路整然とした印象を与える。そう、私は冷静沈着理路整然とした人間なのだ。…え、そうやで?…え?


以下、5つのポイントからこのドラマの素晴らしさを語っていく。少々長くなるので目に留まったポイント以外は読み流して頂いても構わない。では、始めよう。

 


1.恋愛を人生の一部として描いている

前回の記事でも書いたが、まず言いたいのはこれ。1にも2にもこれ。この作品を良質な恋愛ドラマとして成り立たせているのは間違いなくこの要素だ。

だいたい最近の作品はなんだあれ!とりあえずキュンとさせておけば良いとでも思ってるやろ!キュンを求めすぎて物語がおかしくなっとるやんけ!!物語に歪みができてキュンすらせんわ!!そうだよ!あなたが今思い浮かべたその作品だよ!!

 

横浜流星演じる藤野駿は過去の失敗(店が上手くいかなかった事)から、一歩を踏み出そうとする時、自分を取り巻く環境が変わってしまいそうな決断を迫られる時、それを避けようとする。それは恋愛に対する姿勢にも現れてくる。思わせぶりな態度を取りながら、しっかりした形を取るまでに時間が掛かったのも彼の失敗が影響している。まさに人生の一部としての恋愛だ。
柴ちゃんだってそう、仕事での傷を癒してくれる人がいるからこその恋であり愛なのだ。
人生経験が恋愛に影響し、恋愛に対する姿勢が人生経験を間接的に表現している。こういうただのキュンだけではない恋愛ドラマを待っていた。

 

 

2.各キャラクター、役者陣の魅力

これは書き出すと止まらなくなるから主要5人について一言ずつ。

 

藤野駿 : 横浜流星
役者横浜流星の最初のブレイクのきっかけが『初めて恋をした日に読む話』だとするならば、更なる飛躍を感じさせたのが本作だと言って良いだろう。クールな役ばかり演じてきた印象が強い彼だが、本作では人生の浮き沈みを時に静かに、時に情熱的に演じている。更に様々な表情を器用に演じきり、「横浜流星は表情の演技の天才」という事を多くの人に知らしめた。先述したが、傷を抱える人間が一歩を踏み出せるようになるまでの過程を綺麗に演じきっている。横浜流星あっての藤野駿、藤野駿あっての横浜流星、と言っても良いくらい、彼の役者人生における代表作になったと言っても誰も文句は言わないだろう。

あ、ちなみに正確にはこのドラマに逆オファーを出したのではなく、このドラマのプロデューサーと表彰式で一緒になった時に「いつかご一緒したいのでお願いします!」と言っていた所、本作の企画の段階でプロデューサーが横浜流星を指名したとか。

 

真柴くるみ : 川口春奈
こんなに好感度が高いヒロインはそうそういない。仕事にも恋愛にも一生懸命でブレない。ここが強い。例えば向井理社長が解任されたあの時、下手な恋愛ドラマならヒロインは仕事を投げ出して社長の元へ走っていく。下手な恋愛ドラマならエスパーのように向井理の居場所を当て、一瞬で彼の元に辿り着く。だがそんな事はしない。なぜなら恋愛を人生の一部として描いているドラマのヒロインだから。社長が本気を出してきたドラマ終盤回でも一切そっちになびかない。藤野さんをずっと好きでいる。当て馬ポジションの人間を当て馬にすらさせないヒロインの一途さは素晴らしい。

川口春奈という女優の素晴らしさはもう今更言う事ないだろう。時に美しく、時に可愛さを消してただの1人の女性として、時に綺麗な涙を流し、時に飾らない汚い泣き方も出来てしまう、等身大の真柴くるみを演じられる若手女優さんってそうそういないのではないだろうか。彼女の枕詞に「視聴率が〜」みたいな文言を付けて記事書いてた人とか今どんな気持ちなんだろう。こんなに素晴らしい女優さんなのに。


寺井陽人 : 丸山隆平
ごめんなさい、丸山くんはバラエティ班の人だと思ってました。人生の難しさや苦しさも描いていくこのドラマにおいて、懐の深さや温もりを感じさせるこの役は出番の多さとか関係無く重要な役のはずだけど、これを完璧に演じられるのは凄い。あまりジャニーズの人がこのポジションで輝くのを観た事が無いが、役者丸山隆平の力を最大限に発揮できる方向性が固まったのではないだろうか。完全にハマり役だった。


羽瀬彩夏 : 中村アン
まずなにより今の髪型めちゃくちゃ良い。クールビューティー最高。
羽瀬ちゃん回だった4話、あの涙のシーンは凄まじかった。自分の芸術活動を人生を変えてしまうかもしれない妊娠疑惑。夢を諦める事の怖さを想像しながらも、好きな人との最後の繋がりを保てるという希望でもあっただろう。それらが全て無くなった。夢を追いかけられるという嬉しさ、周りの人の温かさ、そして好きな人との繋がりが無くなったという悲しみ、自分の体の中に命が宿っているかもしれないと想像してからの日々、それらが入り混じった複雑な涙を綺麗に表現していた。あれほどの涙のシーンは今まで見た事がない。このドラマの1番好きなシーンを挙げろと言われたら迷わずにこのシーンを挙げる。
あの涙を見てるからこそ、時に出てくるデレの要素に翻弄されてしまう。もう中村アンの掌で転がされている。

 

葉山祥吾 : 向井理
あんたが好きだぜ葉山社長!!1話で「お、これは良い向井理が堪能できそうだぜ!!」と思ったらすぐいなくなったな!?あの後の4話くらい?『向井サブリミナル理』なんて面白おかしく言われていた時間?あれがどれほど苦痛だったか分かるか!?1時間のドラマより15秒のCMの方が登場時間長かったぞ!?雨の中走るシーンが予告で流れて遂に見せ場が来るかと思ったら回想って!!回想かい!!過去の思い出かい!!今出てこい!!みんな待たせたな〜過去の向井理登場やで〜じゃないねん!!今の姿を見せろ!!んで遅い!!本気を出すのが遅い!!ここに来て2週連続で星野源を背負えたけどもう遅いぞ多分!!せめて4話くらいで一回背負っとけ!!お前が普通に振る舞ってれば真柴ちゃん落とせたかもしれんのに!!どうせ最終回では駿と真柴ちゃんを祝福してるんだろうな!!爽やかな笑顔でな!!また視聴者を熱狂させるんだろうな!!あーーーーあ!!あああああ脚が長い!!スタイル良い!!顔小せえ!!支離滅裂になってしまった!!クソったれ!!!

ふぅ、冷静になろう。向井理が演じているからこそ葉山社長の誰とでも仲良くなれる人柄や社員から尊敬されている頼りがいが十二分に表現されている気がする。10話の最後、真柴ちゃんが社長を頼って抱き締められるあのシーン、真柴ちゃんは葉山社長の事が好きだからではなく、「頼れる人」「尊敬できる人」だから彼の元に向かったのだと誰もが悟ったはずだ。あれほどまでに魅力的な男が恋愛の対象ではない事に説得力を持たせるってこんなに難しいことは無いのではないか。脚本の力、演出の力は勿論だが、向井理という役者の魅力が伝わってくる素晴らしい役だ。


…あとジャケットバサー鳥さんバサーのシーンはあれなんやったん!?てっきり何かの伏線かと思ってたよ!?

 


3.「シェアハウス」という設定の妙

当然の事を言うが、恋愛には「プライベート=オフの共有」が必要だ。もちろん「職場=オン」で生まれる恋もあるだろう。だがやはりその恋を発展させるにもオフの共有は必要になってくる。いわゆるお仕事ラブコメでは職場でキャッキャウフフするシーンもあるが、「職場で何しとんねん!こっちは仕事からクタクタで帰ってきてるのにお前らはキャッキャウフフしてるんか!!」というツッコミが聞こえる事がある(決して私ではない。…私ではない!!)。

そういう意味では「シェアハウス」という舞台では常にオフを保てる状態が自然と出来上がっているのだ。冷蔵庫前での衝動キスも、壁ノックでキュンとするのも、全てオフの共有が出来る設定だからこそ生まれたシーンだ。

オフの時間を好きなように取れる舞台だからこそ、多様な恋愛描写が可能になる。恋愛ドラマにおける舞台設定の効果をまざまざと感じさせられるドラマと言えるだろう(この枠で個人的に好きだった『逃げ恥』も『カネ恋』もオフの共有という要素があった事を付け加えておく)。


4.効果的な演出
名実ともに日本を代表する方々が演出やプロデューサーを担っている本作、効果的な演出がいくつも見つかる。

まずは料理シーン。カット割りから映し方から音楽から、オシャレな演出に胸が躍る。ラブコメというジャンルながら、料理シーンが好きな方も多いのではないだろうか?そしてあの演出があるからこそ、駿の料理人としての実力も相応に見える。だが一度思い出して欲しい。彼が仕事として料理をしているシーンがどれだけあっただろうか(ここ2話くらいになって本気で取り組むようになったが)。彼が「料理人」として奮闘する姿は視聴者のイメージほどは描かれていないのだ。にも関わらず駿の料理の腕に疑問を抱く人はそうそういなかったはず。それを可能にしているのは紛れもなく演出の力だろう。

 

そして特に好きで唸ったシーンが5話だ。

Fuji Balから身を乗り出して真柴ちゃんにキスするシーンは、「横浜流星体幹www」と一部で話題にもなっていたが、これは彼が過去のトラウマを乗り越えてこの恋に本気になった事を表現するシーンだった。そして本作恒例の「あの時実は…」のシーンでこれが分かるように構成してるのも本当にズルい。

4話で両想いが確定して更にラブが加速するかと思われたこの回の構成は、

お散歩デートに行く→駿が「真柴ちゃんはただのお隣さん」と言ってる事を真柴ちゃん本人が聞いてしまう。→他の事件が起こる→落ち着いて2人きりになった時に真柴ちゃんが自分の気持ちを伝える→Fuji Balから身を乗り出してキス

というものだったが、「あの時実は…」で駿が「真柴ちゃんの中にはまだ社長がいるから。だから、これ以上は何も言えない(ただのお隣さん)。気持ちが残ってるうちは、やめとく。」と言っているシーンを入れる事で、Fuji Balから身を乗り出してのキスが『駿がこの恋に本気になるためにアクセルを踏んだ瞬間であり、文字通り映像通り、身を乗り出した瞬間だった』というものを表すシーンだと受け取った。

このような効果的な演出が随所に見られる本作、ドラマの完成度を数段階アップさせているのは演出陣の力だろう。

 

5.星野源の圧倒的な存在感
画面に映らない人史上1番存在感ある。なにあれ、もう出てるやろ。ドアップで歌ってるやろ。犬と歩いてるシーンってあれドラマの中だっけ?MVだっけ?星野源があの家で犬と戯れてるシーンとかあったっけ?

星野源チャレンジ』だの『星野源タイム』だの『おいげん』だの、様々な呼称を付けられたあの時間。星野源を背負ったものが物語を制すと言われているあの時間。もうあれ無しではいられない。一度経験したら抜け出す事はできない。


圧巻だったのは8話。星野源が歌い出す、横浜流星向井理が我こそと走り出す。星野源が気持ちよく歌う、横浜流星向井理は息を切らしながら走る。星野源がサビを歌う、横浜流星向井理は「やばい!そろそろ『おいげん』タイムが来てしまう!!」と更にスピードを加速させる。さあ、どっちだ!!どっちが星野源を背負うんだ!!

 

 

 

 

トラックの奥から微かに見える長い足、現れる向井理!!


星野源「♪遺らぬ言葉の中に〜♪」

 

 

 

キターーー!!遂に向井理が背負ったぞーーー!!シャーーオラーーーー!!!

 

記念すべき時間!後世に残したい瞬間!!忘れられない快感!!!繰り返し観たぜ散々!!!イエーーー!!

 


このシーンの実況について「競馬みたい」だの「運動会の徒競走みたい」だの言われているが、むしろそうなるべきなのではないだろうか。運動会の徒競走では『天国と地獄』ではなく『不思議』を流せば良いのではないか。ゴール付近に学校のマドンナに立ってもらえば白熱したレースが繰り広げられるのではないだろうか。

そんな事を思ってしまうほど、このドラマにおける星野源の存在感は凄まじい。『不思議』の力はとてつもない。キスにも涙にも映える主題歌ってなんなんだろうか。某脚本家さんが「今主流だけど、主題歌が本編を邪魔するのが嫌。どっちも勿体無い。」なんて言ってた事があったが、このドラマを観ていると思う。主題歌がドラマを盛り上げ、ドラマが主題歌を彩るのだと。

 

 

 

さあ、恐らく書こうと思ったらまだまだ幾らでも魅力を書けるだろうが、ひとまずここまで。このドラマを作り上げる様々な要素に魅了され続けた3ヶ月がもう終わろうとしている。残すは最終回のみとなった本作、果たして結末は。『大豆田とわ子と三人の元夫』と一緒に火曜日を盛り上げてくれた『着飾る恋には理由があって』、最後はみんなで着飾らずに自分の思いの丈や興奮をそのまま表現しよう。実況や感想で盛り上がろう。そしていつか、自分の夢でもあるドラマオフ会を開催できた時、このドラマの魅力を沢山の人と語り合いたい。盛大に着飾った格好で。

 

 

 

拝啓、星野源

この度は素敵な楽曲をありがとうございます。自分の人生をこの楽曲に乗せながら、すでに100回以上は拝聴させて頂いております。
さて、不躾なお願いだとは重々承知しておりますが1つお耳に入れていただきたい事があります。
先述した通り、『不思議』を何度も拝聴させて頂いております。その中でも、毎朝通勤時には必ず聴くようにしております。しかし、この作品において絶大な効果を誇るこの楽曲が、私の恋愛には全く関与してこないのです。毎朝毎朝、星野源を背負う気持ちで聴いています。今日は何かあるかな?キュンとする瞬間はあるかな?恋が走り出すかな?そのような事を思いながら『不思議』を聴いています。しかしあなたは私の背中に乗るどころか背中すら見ていません。やはり星野源を背負えるのは横浜流星向井理だけなのでしょうか。私のような若造には背負いきれないのでしょうか。イケメン俳優限定なのでしょうか。もちろん、あなたを背負いきれるほどの人生経験や器量は無いのかもしれません。ですが、少しくらい、チラッと見るくらいで良いので私の背中を認識していただけないでしょうか。なんなら背中にニューシングルを貼り付けておきます。これであなたの目にも留まるでしょうか。
嗚呼、星野源様。別に多くの事は望みません。『不思議』を聴いている私の背中を、あなたの目に。私の人生に星野源の力を。
嗚呼、星野源様。愛と敬意を込めて。

敬具

狙うは親子二世代?TBS火曜ドラマの今後は?

 

 

菅田将暉「コント、ゴールデンウィーク

 

〜ある1つの家庭にて〜

娘「さあGWは予定をいっぱい入れたぞ!去年は自粛自粛だったから、今年はリスクを最小限に抑えながら楽しむんだ!!」

 

政府「緊急事態宣言を発出します。イベントは中止、飲食店は時短営業を要請します。」

 

娘「は?最悪!予定3つも飛んだ!遊びにも行けないじゃん!!」

母「しょうがないでしょ、家でゆっくりしなさい」

娘「家にいたってやる事ないじゃん!」

母「あんたドラマ好きなんだからそれ観たら良いじゃない」

娘「テレビ1つしかないから取り合いになるでしょ!ママだってよく分からないドラマ観てるし!」

娘「あーあ、もしコロナが無い世界線だったらどんなに楽しかっただろうな…」

 

 

 

 

どうも、コロナで行く予定だった坂元裕二朗読劇が2公演中止になったせっきーです。コロナへの怒りや荒んだ気持ちを癒してくれるのはやっぱりドラマ。今期は近年稀に見る超当たりクールです。『大豆田とわ子と三人の元夫』『コントが始まる』という日本ドラマ史に残りそうな傑作2作品に加え、『着飾る恋には理由があって』『レンアイ漫画家』といった良作ラブコメ『半径5メートル』『生きるとか死ぬとか父親とか』等も評判が高く、正にドラマを観るために時間を捻出する日々。

 

そんな中、GWの予定も潰れた事だし久しぶりにブログを書こうかな〜と思ったのですが、傑作2作品については語彙力が足りなくて表現できないので、TBS火曜10時枠について書いていきます。

 

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今期のTBS火曜ドラマは『着飾る恋には理由があって』が放送されていますが、いや〜これが面白い!この枠でここまで面白いのは久しぶりじゃないか?いつ以来だ?『おカネの切れ目が恋のはじまり』以来か?その前は?『G線上のあなたと私』か?この枠で1番のヒットは何だ?逃げるは恥だが役に立つだな?

 

そう、ここで見えてくるのが「自分はただのラブコメは求めていない」という事。自分がハマった恋愛ドラマは「恋愛を人生の一部として描いている」という事。

 

最近のTBSは素晴らしい。日曜劇場では常に話題を集め評判も良く、金曜ドラマでは傑作を生み出すか良作を生み出すか実況を楽しめる作品を生み出すか、という状態。そして火曜ドラマは?「若者向け」にターゲットを絞って、実際にTwitterのトレンドは毎回上位にランクイン。ドラマ離れが叫ばれる中、若者の視聴者を集めてくるそのターゲッティングとそこで結果を出す力、凄まじい努力が伺える。

 

ただその一方、『恋はつづくよどこまでも』や『この恋あたためますか』や『ボス恋』にハマれない自分… 一応若者のつもりです自分…

 

いわゆるラブコメには大きく分けて2つの種類があると思う。少女漫画のような「理想を詰め込んだ作品」と「人生の一部として恋愛を扱う作品」の2つだ。若い人には前者がウケる。先に挙げた3作品の反応を見てもそんな印象だ。では後者は?この方向性の作品がウケるのは20代後半から30代40代50代の、人生経験を積んで様々な事を経験してきた、もしくはドラマを通して経験したい人たちではないだろうか。

 

人生の一部として恋愛を描くとどうしてもそれ以外の描写が必要になる。例えば仕事、例えば友人関係、例えば親子関係。そういった要素で下地を作りその上に恋愛描写を乗せていく。するとどうだろう、辛い描写や暗い描写も必然的に出てくるのだ。そして、そこに視聴者は感情移入し登場人物を身近に感じ、好きになっていく。人生の酸いも甘いも経験した人ほど、その登場人物の心情に触れ、寄り添う事ができる。だからこそこの方向性の作品は10代よりも一回り二回り上の世代に響いていく。

 

ドラマ好きの中でも評判の良い『G線上のあなたと私』は正にそんな作品だった。でもだからこそ、そこまで数字を取れなかったのも分かる。この作品は若者に響く分かりやすい恋愛の描写が少なかったからだ。

 

その一方で『カネ恋』『逃げ恥』は、若者に響くキュンとするポイントを抑えつつ、人生の難しさも描いて大人の世代も魅了しつつ、結果世代を問わずにウケていた印象がある。そのバランスがとても良かった。実際にこの2作品、特に『逃げ恥』は国民的ドラマとしてヒットする事になる。

 

だから思う。TBS火曜ドラマが目指すべきなのは、若者にもその親の世代にも響く作品なのではないだろうか。親子二世代で一緒に楽しめる作品なのではないだろうか。もちろん、言うは易し行うは難しだろう。だが今期放送されている『着飾る恋には理由があって』はこの方向性の作品だと思う。冷蔵庫前のキスはキュンキュンせずにはいられないかった。でもそれを可能にしたのはそれ以前の仕事の描写であり舞台設定であり丁寧な心理描写なのだ。放送が始まる前に「この作品がヒットすれば火曜ドラマの方向性が変わるかもしれない!」とワクワクしていたが、期待以上の良作でドキドキしている。

 

もしこの作品がこのまま完走してヒットしたら…TBSはまた新しい武器を手に入れる事になる。流石ドラマのTBS…手が付けられない…Paraviに入って貢がないと…

 

と、そんなことも少しイメージしながら『着飾る恋には理由があって』を観ると更に面白さを味わえるかもしれない。

 

そしてもう一つ、このドラマの向井理が放つ圧倒的な最強男オーラは何なんだろう… こんな男が当て馬になって良いのか?

 

という事で更に言うは易し行うは難しを…

 

各種配信サイトでサイドストーリーを放送するドラマが殆どになってきている今だからこそ、「ヒロインが本命ではなく当て馬を選んだ世界線を配信サイトで!」という取り組みをしてくれるラブコメ作品は出てこないだろうか。なに?役者さんのスケジュール?知らん知らん言うは易しや!なに?普通に考えて全て2倍の時間やお金が必要になる?知らん知らん言うは易し!別の世界線を描く特別編が観たい!!向井理本命ルートも観たい!!

 

はい、あれこれ言いましたが何が言いたいかというと、今期のドラマは面白いですよ!『着飾る恋には理由があって』はどの世代にも刺さる作品になりそうですよ!向井理は本命でも良いですよ!という事でした。

 

 

 

それでは皆さん、残りのGWを楽しみましょう!!

 

 

 

菅田将暉「コント、ゴールデンウィーク

 

娘「じゃあ出かけてくる!10時までには帰るから!」

母「今日はどこに行くの」

娘「映画観て、その後買い物して、飲みに行く!」

母「今日はあのドラマの最終回なんだから早く帰ってくるのよ!」

娘「分かってるって!じゃあ行ってきます!」

 

ニュース「コロナが収束して約1ヶ月、街は賑わいを取り戻しています。」

 

 

 

 

(全然コントちゃうやんけ…)

 

どんな衣装を身に纏おうか

 

あなたは今、どんな服を着ていますか?見た目の印象を左右するアウターはどんなものですか?冬だから厚着をしていますか?人に見えない下着はどんなものですか?

 

 

待って、これ都市伝説の「お姉さん、どんなパンツ履いてるの?」みたいになってる!?それはマズイ!!そんな事言いたいんじゃないんだ!!そんな事聞きたいんじゃないんだ!!本当に!!……いや本当に!!

 

 

 

 

映画『花束みたいな恋をした』

 

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皆さんはご覧になっただろうか。

 

(あ、ネタバレありますのでご覧になってない方はお気をつけ下さい。)

 

山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)、終電を逃した2人の運命の出会いから始まる5年間の恋の軌跡を描いた作品である。

 

何が運命か、もちろん出会い方だって運命だ。自分だって終電逃した有村架純と目が合ったらその瞬間に運命を感じる。終電を逃さまいと改札を通ろうとして菅田将暉とぶつかったら運命を感じる。そして菅田将暉有村架純がその場で出会ってしまったらやっぱりそれは運命だ。

 

でもそれ以上に彼らは趣味や考え方がとことん合うのだ。好きな作家、好きな音楽、好きなお笑い芸人、ジャンケンへの不満だってそう。こんなに相性の良い相手とこんな出会い方をしたらそりゃ運命を感じる。

 

彼らを繋いだのは本や音楽やお笑い等、「カルチャー」という衣装だった。「運命の出会い」という衣装だったのだ。

 

そこからはもうトントン拍子。楽しそうにイチャイチャしてましたわ。お金を払って2人のイチャイチャを観てましたわ。公共の場でイチャイチャしてるカップルとかクリスマスデートしてるカップルとか見るとイライラするのに、2人のイチャイチャはお金を払ってでも観ていられたんだけど?これはなに?やっぱり菅田将暉有村架純のイチャイチャだから観てられるのかな?クリスマスにイチャイチャしてる菅田将暉有村架純は全然観てられるし?じゃあ逆にその辺にいるクリスマスデートしてる普通のカップルでも金を払って特等席でそのイチャイチャを見られるとしたら?いや全然おもんないな!!なんで金払わなあかんねん!!金払ってイチャイチャを見せて頂くってなんやねん!!!早よ帰らせろや!!!

 

やっぱり菅田将暉有村架純のイチャイチャだから観ていられるのですね…(ゴリゴリに脱線した…悪い癖が出てしまった…)

 

 

 

大学生から社会人へとライフステージを変えた彼らは同棲を始め、交際も順調に進んでいた。

このままずっと幸せそうな2人を観ていたい。そう願った。

 

 

ただ残念、そこは坂元裕二脚本、このまま行く訳が無かった。

 

 

お互いの共通点である「カルチャー」で繋がった彼らは1つのきっかけで身ぐるみを剥がされてしまう。「カルチャー」という衣装を2人で揃って着ることが出来なくなってしまうのだ。

 

冒頭30分ほど、起承転結の『起』の部分、先にも書いた通り彼らは運命と言っても良いほど好みがピッタリだった。

 

だがどうだろう。そこから更に30分、起承転結の『承』の部分、微かに2人の恋愛観や人生観の違いが描かれていく。

 

恋の始まりは終わりの始まりと主張するブログを愛読する絹と将来を楽しそうに想像する麦、『女性に花の名前を教わると今後その花を見た時にその女性を思い出してしまう』という理由で花の名前を教えなかった絹と教えて欲しいと言った麦、夢を半ば諦め就職を決意した麦と要領よく就職を決めるが楽しく仕事をしたいという思いを捨てられない絹、ガスタンクの映画だってそう、絹は途中で寝てしまっていた。微かなすれ違いがそこにはあったのだ。

 

彼らを繋いでいた「カルチャー」という衣装が無くなった時、彼らを盲目にしていた「恋」という衣装を着られなくなった時、彼らが裸になった時、微かなすれ違いが大きな歪みになってしまう、そんな予感がした。

 

 

そして起承転結の『転』がやってくる。恐れていた事がやってくる。

 

麦は「仕事」という衣装を着る事になる。恐らくそれはとても重くそして厚い服だったのだろう。あれ程楽しく嬉しそうに語っていたカルチャーという衣装を着る事が出来なくなるほどだ。

 

ゴールデンカムイ最新刊を楽しそうに読む絹といつからか全く読まなくなってしまった麦、一緒に舞台を観に行こう!と楽しみにしていた絹と仕事を優先させる麦、好きな作家の新刊を見つけてウキウキする絹と啓発本を手に取る麦…

 

麦が「仕事」という衣装を着た事がきっかけで微かなすれ違いは大きな歪みになっていく。大きな歪みにお互いが気付いた時、終わりを意識し始める。「カルチャー」や「恋」という共通の衣装を着ていられなくなった時、2人を繋ぎ止めておく理由が見つからなくなる。

 

こうなった時、どうすれば良いのだろう。

 

「新しい趣味」という衣装を探してみようか?でも私も社会人1年目だから少し分かる。今から新しい趣味を見つけるのは結構面倒だ。相手に合う趣味を見つけたり相手を自分の趣味に染めようとする事は尚更だ。その労力を別れが見えている恋人に使えるだろうか?

 

 

麦がこだわっていた「結婚」という形、「夫婦」という衣装、これもまた彼らを繋ぎ止める新しいアイテムだったのかもしれない。

 

結婚の先にある「親」という衣装、これも彼らが一緒に人生を歩んでいくためのビジョンの1つだろう。

 

だが選べなかった。選ばなかった。彼らは「恋」という衣装がボロボロになるまで着た後、2人でこの関係を続けていくための新しい衣装を着る事を選ばなかったのだ。

 

別れてからの3ヶ月、絹の新居が中々見つからず彼らは元恋人として同棲を続ける。

 

その姿は清々しく、会話がほぼ無かった最後の期間なんて想像できないほど楽しそうだった。これを可能にしたのは「元恋人」「ぶつかり合い分り合い、そしてこれから会う事もなくなる2人」という衣装なのだろう。

 

『恋に終わりはあるのか』

 

この問いへの坂元裕二の答えは『ある』なのではないだろうか。

 

「恋」という服をボロボロになるまで着続けて、もう着ていられないとなった時、2人でまた新しい服を見つけられれば良いのだ。それは「愛」かもしれない、それは「夫婦」かもしれない、それは「趣味」かもしれない、それは「元恋人」かもしれない。

 

恋に終わりはある。でも恋が終わっても新たな形がある。そんなメッセージを感じた。

 

 

 

1人1人身に纏っている衣装は違う。カルチャー?仕事?恋?親?子ども?そして同じ衣装に見えても1人1人作り込まれ方が違っている。そんな服をみんなが重ね着しているのだ。

 

同じ衣装を着ている人に出会った時、共通点を見つけた時、その出会いは特別なものになる。そして友達や恋人や家族と一緒に新たな衣装を見つけた時、その衣装は特別なものになる。

 

 

さあ、どんな衣装を着て過ごそうか、どんな衣装を探しに行こうか。

 

 

さらば、愛しの作品たちよ!

 

「なせだ!!なぜこんな事が起こっているんだぁぁ!!」

 

8月某日、私はその光景を目の当たりにして1人テレビの前で叫んでいた。冷房をガンガンに効かせた寒さすら感じる涼しい部屋の中、焦りと不安と後悔で大量の冷や汗をかきながら…

 

 

別れはいつも突然やってくる。

 

 

先日、我が社の人事異動が発表された。4〜5年スパンで転勤がある我が社ではそれは当然誰しもが経験する事である。しかし入社1年目の私にとって、これまでお世話になってきた人が突然異動になるというその事実は簡単に受け入れられるものではない。

 

その人は社会人としてのイロハから業務上の知識から遊びから、色々な事を教えてくれた人だ。自分が社会人生活を終える時、必ずその人の事を想うだろう。

 

まだまだ教えてもらう事は沢山あるはずだ。しかし、別れはいつも突然やってくる。

 

去っていく先輩に私が出来る事はなんだろうか。

 

伝えよう、「あなたのお陰で充実した時間を過ごせました」と。伝えよう、「いつか成長した姿を見せます」と。

 

そしえ新しく異動してくる人に伝えよう、「これからよろしくお願いします」と。「お世話になります」と。

 

 

別れはいつも突然やってくる。

 

 

コロナウイルスの影響でドラマのクール制が崩れた今年、我々はドラマとの出会いと別れを次々に経験した。

 

1クール終わり、そのクールのドラマの余韻を楽しみながら次クールのドラマの情報や番宣を見てワクワク貯金を貯めていく、そんなルーティンをこなしていた私にとってこの変化は大きなものだった。

 

「えっ、待って!まだあのドラマに別れを告げてない!!」「今日から放送開始!?早すぎる!!まだワクワク貯金が全然貯まってない!!」

 

こんなドタバタな出会いと別れの連続だった。そして今思う。クール制のあのオフの期間は大事だったのだと。あの期間はドラマに出会いと別れの挨拶を告げる期間だったのだと。

 

しかし我々は受け止めなくてはならない、その突然の出会いと別れを。

 

だから伝えよう、「あなたのお陰で充実した時間を過ごせました」と。伝えよう、「またいつか会いましょう」と。

 

そして伝えよう、「これからよろしくお願いします」と。伝えよう、「あなたと会える事を楽しみに1週間過ごします」と。

 

 

別れはいつも突然やってくる。

 

 

私がテレビの前で叫んだ8月某日、の数日前、我が家に1つ目の事件が起きた。

 

録画機器が壊れたのだ。何故か録画が出来ない。何度試しても、何度祈っても同じだった。終わった…「これでMIUや半沢直樹を全話録画する事が出来なくなった…」と気持ちが沈んだ。

 

しかし、まだ録画してある番組を観ることは出来る。この事実は私の一筋の光であった。新しく録画機器を購入すれば、手間はかかるが自分の好きなドラマを全話一気見する事も可能なのだ。

 

フォロワーさんにもアドバイスを貰いながら社会人1年目には少し高めの買い物をした私は、最新機能を搭載した彼の驚くべき働きぶりを見てウキウキワクワクしながら楽しい時を過ごしていた。そう、この後に更なる悲劇が訪れるとも知らずに…

 

 

別れはいつも突然やってくる。

 

 

「なせだ!!なぜこんな事が起こっているんだぁぁ!!」

 

その日、私は叫んでいた。それは壊れた彼に残してある番組を見ようとした時だった。

 

「待て待て、なんだこれ!配線か!?配線なのか!?いやいや、配線は大丈夫だ、じゃあなんなんだ!!何で反応しない!?なぜ録画リストが表示されないんだ!!」

 

私は焦った。怖くなった。これまで幾度となくお世話になってきた彼は完全に動かなくなっていたのだ。

 

どうしたらいい!?

 

考えられる事は全て試した。配線を外して息をフーフーした。リモコンの問題か?と電池の交換もした。よく分からなくなってテレビの電源を落としてもダメだった。「なあ、嘘だろ…?いつまでも一緒にいてくれるって約束したよな…?なあ!いかないでくれよ!!」必死に声を掛けたが何も反応はなかった。せめて最後は、と彼を綺麗にしたがそれでも全く動かない。

 

 

別れはいつも突然やってくる。

 

 

彼との別れは彼の中に残してきた数多くの作品との別れを意味していた。ああ、君とこれまで何時間何十時間過ごしてきただろう。君の中のあの作品と一緒に歩んできた時間はどれほどのものだっただろう、どれほど大切な時間だっただろう。

 

さようなら『アンナチュラル』、さようなら『俺の話は長い』、さようなら『アライブ』、さようならプロポーズ大作戦、さようなら『コタキ兄弟と四苦八苦』、さようならリッチマン、プアウーマン、さようなら『インハンド』、さようなら『グッドドクター』、さようならアシガール(未視聴)』、さようなら『いいね!光源氏くん(未視聴)』、さようなら、『LIFE(中川大志・波瑠出演回)(未視聴)』、さようならみんな、さようなら、さようなら…

 

別れとはこれほどまでに突然でこれほどまでに残酷なのか。彼らと過ごしてきた時間、彼らとこれから過ごす時間、それらを考えたらもうダメだった。逃げ出したくなった。目を逸らしたくなった。

 

この別れを受け止めるのは簡単な事ではない。しかし、誰しもが別れを経験し、そして新たな出会いを経験するのだ。人は別れを経験して成長していくのだ。そう言い聞かせた。

 

別れを告げよう、彼らに感謝を伝えよう。そう思えるまでにどれほど経っただろう。私の1つの区切りの時が来たのだ。

 

 

だから伝えよう、「あなたのお陰で充実した時間を過ごせました」と。伝えよう、「あなたは私の生活の一部でした」と。伝えよう、「またいつか会いましょう」と。

 

そして新たに仲間になる作品たちに伝えよう、「これからお世話になります」と。伝えよう、「あなたと過ごす時間を楽しみに家に帰ってきます」と。伝えよう、「ずっと一緒にいて下さい」と。

 

 

別れはいつも突然やってくる。こちらの都合なんて一切考えずに向こうから突然やってくる。これからも一緒にいられると思っていても急に別れを受け入れないといけない状況が訪れる。別れのその瞬間、全てを受け入れるのは到底無理だ。だから一言、感謝を伝えよう、別れの挨拶をしよう。

 

 

今までありがとう、愛しの作品たちよ!さらば、愛しの作品たちよ!

 

2020年・冬ドラマランキング!

🤵「さあ、今期のドラマも全て終わりまして、この時期がやってきましたね!」

👩‍💼「はい、今期放送されたドラマを勝手にランキングしてしまおうという企画でございます!」

🤵「開始前は不作のシーズンだと囁かれていた今期ですが結果はどうなったのでしょうか!」

 

 

 

つまらないのでやめますね

 

 

 

という事で今期の個人的なドラマランキングを発表していきます!

なお、このランキングは「今の記憶を持ってドラマ開始前に戻れるならオススメしたい度ランキング」になってますので、単純な面白さランキングとは順位が前後する事があります。

 

因みに秋ドラマはこんな感じでした

 

今期私が観たドラマはこの17本です。

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上位3つと最下位が飛び抜けてる印象でした!(ここでピンときた人は凄い)

 

順位と簡単な感想を付けて発表しまーーす!!

では、早速いきましょう!

 

🥇 アライブ

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はい、やっぱりアライブが1位ですね!今年のドラマの中でも恐らく上位3つに入るんじゃないかな?これは語り出すと止まらなくなるから良ければ前回書いた記事を読んでください。

seckey-drama.hatenablog.com

ガンを扱っているため、身内にそういった方がいらっしゃると観るのが辛いかもしれない。でもこのドラマは多くの人に観て頂きたい!!因みに私は「アライブ良いよ〜」と布教するだけでは飽き足らず、家に遊びに来た友人に録画を延々と見せ続けた。1月上旬に戻れるなら全ての知り合いに激推ししまくるだろう。今期の1位はこのドラマ以外に無い。


🥈 コタキ兄弟と四苦八苦

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これもガチの名作

このドラマは「面白い」も「泣ける」も「考えさせられる」もその他色々、ドラマを楽しむための要素全て持ってる気がする。ノリノリのOPで「これから物語が始まるぞ!」とワクワクさせて優しいEDで余韻に浸らせる、音楽も最高なのよ!

コタキ兄弟(と、さっちゃん)がワチャワチャしてるだけでも面白かったんだけど、物語が後半に入って「おっ、そっちに進むの!?」という展開に驚いたし、社会問題を扱ったかと思えば『君◯名は』みたいな入れ替わり回もあり、色々な楽しみ方が出来る傑作です!日常と些細な事件でここまで面白く出来るとか最強か!登場人物の日常を愛おしく感じさせられたらもう勝てませんよ

野木亜紀子恐るべし古舘寛治恐るべし滝藤賢一恐るべし芳根京子恐るべし

 

🥉 心の傷を癒すということ

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阪神淡路大震災の真っ只中で、人々の心の傷を癒すために奔走した精神科医の物語。精神科への理解が進み、精神科は心の拠り所になる場所だと、心の傷を癒してくれる場所だと知られてきた今だからこそ、当時自分に何が出来るか手探りの中色々な人と向き合った先生を観て頂きたい。全4話と短いながらも密度の濃すぎる内容になっているため、1番に手を付けて欲しいのはこのドラマかもしれない。


4位 この男は人生最大の過ちです

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これはめちゃくちゃ笑える

もこみち演じる変態社長が文字通り変態だしこいつが何かする度に笑ってたな〜でも所々カッコいいんだよな〜いやらしい男だよ!!ノンストレスで観れて気軽に笑えるしちょっとキュンとするし(いや、しないか?)忙しい人でも楽しめるから是非!


5位 パパがも一度恋をした

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笑える+泣けるのが土曜夜の放送時間にピッタリ合ってた(あまりリアタイ出来なかったけど)。このキャスト陣を見てこんなハートウォーミングなドラマになると予想できるか!?因みに如意棒だのガンダーラだの下ネタでふざけ合ってたシーンも大好きでした。


6位 来世ではちゃんとします

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これは家族で観てはいけないよ!深夜に1人でゆっくりダラダラ観て「え、もう終わり?まだ観たいんだけど!?」この繰り返しです。セフレがどうだの性癖がどうだの下ネタで笑える反面、自分に合った人生の形や性の楽しみ方をして良いんだよと言われてる気もして「何でこんなドラマにメッセージ性込めてんねん!!」って(良い意味で)ツッコミ入れたくなります。意外と?ストーリー性もあるから次回が気になっちゃうぞ!!

 


7位 テセウスの船

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はい、出ました今期の視聴率キングですね。このドラマねぇ…いや、評価してたんですよ?私は勝手に『実況特化型ドラマ』と呼んでるんだけど、録画で観てもそこまで面白くないのにTwitterでTLの皆さんと実況しながら観るとめちゃくちゃ面白いドラマの典型です。

「ツッコミ」「感動」「考察」と実況特化型に必要な要素を盛り込んで数字も取れてたからドラマの新しい方向性を見たなんてね…思ってましたよ…

 

 

何や終盤の蛇足に次ぐ蛇足は💢キュッとしたら7話くらいで終われるやろふざけんな💢最終回で新事実ポンポン出してくるし案の定設定がガバガバになってるらしいし「おっ、釣れた釣れた!視聴率稼ぐために引き延ばしたろ」とでも思ってたんか!?

 

 

 

あっ、口が悪くなってしまった…はしたない言葉を発してはいけないと言われて育ったのに…

 

でも役者陣は好きだし(芸人出しすぎなのまだ許してねぇからな)友人とあーでもないこーでもない言い合うのは楽しいからオススメ度は高めで。前半は面白かったし視聴者が楽しみ方を理解した頃のTLはすごく楽しかったしね。視聴率も良かったから観たい人は観てるでしょ(投げやり)

 

8位 ホームルーム

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変態2人目の登場です!朝ドラで人気になった後にこの役やる山田裕貴本当に好きww

初回の感想がこれなんだけど

冒頭の部分は自分でも良い表現したなと自画自賛したい(イラッときて読むのやめるの待って!!)。漫画原作で後半はオリジナルストーリーだったらしく、そっちへ行くのかという印象。でもラストは期待通りでガッツポーズした。深夜ドラマらしく自分達がやりたい事をとことん追求してる感じが好き。

 

9位 知らなくていいコト

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最終回を除いて面白かった。いや、面白かったと言っても記憶にあるのは尾高さんのカッコ良さとクソ野郎野中が9割なんだけどね。これも『実況特化型』に認定します👏

ただ最終回が酷い。縦軸の結末それでいいの?今まで観てきた意味あるか?尾高さんの奥さんをそこまで悪者に描く?ケイト勝手すぎない?最終回で一気に冷めました。あと野中で遊びすぎで最後の方は重岡くんが可哀想でしたとさ。尻すぼみは別に良いけどここまで崩れるとちよっとね…

 

10位 ペンション・恋は桃色

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これドラマ好き以外で観てた人いる!?逆にこのドラマ観た人はたとえ他のドラマ一切観てなくてもドラマ好きと名乗って良いと思うわ目の付け所がおかしいもん(褒めてる)。自由気ままな感じとちょうど良い緩さと、アドリブも色々入れてて役者さんが楽しんで演じてるのが分かって好きだったなぁ。深夜ドラマだからこそできるしこんな深夜ドラマならいつでも観たい。ただ、やっぱりこれは物好きじゃないと観ないかなと思うので順位はちょっと低め。


11位 病院の治しかた

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そうそう!こういうのを待ってたよドラマBizさん!という感じ。病院もの多いなぁ…と思ってた今期だったけど、このドラマはビジネスに寄せたドラマで良かったです。スパッと改革していく院長は見方によっては嫌な奴に映りそうだけど、そこは小泉孝太郎の品の良さなのか?そうならずにキャスティング上手いなぁという印象。

この順位になったのは単純にこういうドラマを守備範囲にしてる人少なそうだから…この枠って観る人選ぶよね…オススメできる人が周りにあまり居なさそうなんだよなぁ

 

12位 死にたい夜に限って

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こんな人生に憧れることは絶対ないけど、きつい場面も多かったけど、でも登場人物は大好きになったし笑えるし最後は泣けてくる。この雰囲気自分は大好き。賀来賢人が「私たちが観たかった賀来賢人」をやってくれるのが嬉しい!そうなんだよ、賀来賢人は凄いんだよ!あと歌がめちゃくちゃええ!!


13位 連続殺人鬼カエル男

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原作の世界観を出来るだけ表現しようとしてたから中々評価高いです。こういうのは深夜ドラマだからこそ出来るんだろうね〜映像も綺麗だったし役者陣も力が入ってたし良かった。けどやっぱりグロが前面に出てるから観る人は選ぶかなという印象。観てる人は大体高評価だったから単純なドラマランキングならもう少し上かもしれない。


14位 恋はつづくよどこまでも

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これはドラマとして認めないからな💢

 

これも『実況特化型』ですね間違いない。いや、佐藤健特化型かもしれないな!

 

あ、もう一個、初回にこんなツイートしてたわ

ゴメンなさい私が間違ってました。佐藤健が築いた貯金はビルゲイツやスティージョブズを遥かに超えるものでした。結局佐藤健はそのカッコ良さだけでこのドラマを持たせてしまったのだ、恐ろしや。

勇者と魔王って…勇者コスプレって…自分に自信が無いヒロインが佐藤健にあんな大胆行動するって…(アイスクリームをわざと付けたのは寒気がした)清原翔に二択を提示させられた後の行動って…TLに流れてきたparaviニャンニャンも吐き気がするくらい気持ち悪かったわ…まあクソ脚本を挙げるとキリがないんだけど…

 

佐藤健がカッコ良かったなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

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多分ドラマをあまり観ない層にはこんな感じのが良いんだろうな…自分もあまりドラマを観なくて何も考えずにドラマを観たいイケメン好きな人にオススメするならこのドラマを選ぶかもなぁ…でもドラマとして認めてないので(しつこい)この順位です💢このドラマが成功したのは奇跡だから後追いするドラマが出てこない事を祈ります🙏

吉川愛ちゃんは最高だぞ)(写真集も買ってしまった)(いつ届くんやろ)(今なら宛名記載の直筆サイン入り生写真ついてくるらしい)(買うなら今)(回し者感凄い)(インスタでオリジナルハッシュタグ大量に付けるおもんない人みたいになってもうた)

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15位 絶対零度

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このドラマ、というよりこの沢村一樹シリーズが嫌いです。前作から続いてる家族殺しの犯人が今作から出てきたそいつでいいのか?それは破綻してないか?最終回の井沢さんは犯人を前にして本当にそうなるか?今まで色んなことがあって本当にそうなるか?各話のラストに最後二話分くらいのストーリーを入れ込んでくるのも本当に嫌い。井沢さんが怒り狂う事も、ミハンに裏切り者がいる事も、仲間が死ぬ事も、井沢さんの家族殺しの犯人を追う事も、全て前作と一緒で本当に酷い。

ていうか「前作どうなってた?」でTLが埋まるとか異常だからな?1話1話のストーリーは面白いのもあるのに肝心な縦軸でやらかし続けて終わった頃には評価が低い、そしてそれも忘れられると…残念でした


16位 やめるときも、すこやかなるときも

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なんかあまり印象に残らない作品で、書く事が無いんだよなぁ…別につまらない訳ではないんだけど、なんなんだろう…嫌いよりも無関心の方が〜ってこういう事を言うのかな?重いし長いし色んな意味でキツいから(土下座とか引いたわ)オススメ作品を選べと言われてこれを選ぶ事は無さそう。

日テレが嫌いな局No. 1になりつつあるんだけど、このドラマの奈緒金澤美穂みたいに貢献してくれた人達に仕事を与えてるのは素晴らしいと思う横浜流星がブレイクしたのはあなたの番ですじゃなくてはじこいだからな!!)


圏外 10の秘密

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これは観なくていい(真剣な顔)

 

ストーリーごちゃごちゃしてる、出てくるキャラで好きになれるキャラ1人もいない、そもそも「10の秘密」って何なのか一切不明、キャストの無駄遣い、etc

 

これは観なくていい

 

1つだけ褒めるとすればOPの盛り上がりは今期で1番かもしれない

OPを文字起こしするとどうなるのかというのがこのドラマで唯一気になる所でした

 いや、この感じ見るとちょっと盛り上がってるじゃんと思うかもしれないけど本当に観なくて良いからね

 

 

はい、という事で今期のランキングはこのような感じになりました!!不作だと思ってたけど上位3つのドラマは今年の中でもトップ争いすると思うし、深夜ドラマの健闘が光ったのも個人的にすごく嬉しいな〜

 

深夜ドラマが躍動してるのは視聴率を気にせず自分達のやりたい事を追求できる環境にあるからだと思います。一方プライム帯は視聴率を気にするあまり『実況特化型』のドラマが増えてドラマ自体の質が下がっているという…まあテセウスの船と恋つづは実際に数字も取ってるからなぁ…SNSの発展でドラマの楽しみ方が変わってきてるのも大きいのかな?

どこかで「SNSがドラマに与える影響」についても書きたいと思ってますが、とりあえず今回はここまで!

 

もし気になる作品があったら観てみて下さい!特に上位3つは観て損をする事は絶対に無いです!もし観てつまらなかったらその時間分のお金を払ってもいいくらい(和牛の商品券で)

 

今期もドラマは楽しかったぞ!!!

隠れた名作ドラマ『アライブ』を語りたい

 

「腫瘍内科医はメスを握らないからこそ患者さんとの寄り添い方や向き合い方、距離感やコミュニケーションが非常に重要になってくる」

 

主演の松下奈緒が番宣で出演(確かグッディ)した際のコメントだ。このコメントこそが『アライブ』というドラマを的確に表していると思う。

 

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2020年冬ドラマ木曜10時から放送中の『アライブ』、腫瘍内科を舞台に癌治療について描いていく医療ドラマであり、ヒューマンドラマだ。タイトルにある通り、このドラマが隠れた名作なのである。

 

いや、隠れてないけどね!!ドラマ好きからはかなり評判良いんだけどね!!

 

なんせ、視聴率がめちゃくちゃ低いのだ。9話の視聴率は6.4%らしい…

 

なんでなん!?(千鳥ノブ風)

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このドラマの質は今期No. 1どころか今年放送されるドラマの中でもトップ争いをするくらいに高い。なのに全然観てる人がいない…

 

『恋◯づ』のようなドラマとしての完成度がべらぼうに低い作品の方が視聴率を取ってるのは何故か。やっぱり楽に観られて何か1つ分かりやすい特徴(佐藤健がかっこ良すぎる)を持ったドラマが好まれるのだろうか。

 

いや、『アライブ』の視聴率が低い理由は何となく分かる。力のある役者を集めた結果地味なキャスティングにも見えてしまう事、そもそもテーマが重い事(TwitterのTLでも、身内に癌患者がいるから辛くて観られないというツイートを何度か目にした)、派手さが無い事、etc…

 

そう、そもそも万人に観てもらえる土壌が出来てなかったのだ。しかしながらこれほどまでに高いクオリティを保ちながら世の目に触れないのは納得が出来ない!!!

 

 

という事で今日は『アライブ』の魅力を語っていこう。何せ『アライブ』を知って欲しくてブログを始める決心をしたのだ。大いに語らせていただきたい。

 

 

 

(真面目モードでいきます)

 

 

『アライブ』は松下奈緒演じる腫瘍内科の恩田心先生と木村佳乃演じる消化器外科の梶山薫先生を中心に、時に投薬治療で、時に外科手術で、癌を抱える患者さん1人1人と向き合いながら治療を進めていく医師と患者の物語だ。1つ1つのストーリーが物凄く丁寧にそして真摯に癌という病気に向き合い作られている。

 

男性の乳ガンや緩和医療、民間療法、ガン患者同士の交流会、グリーフケアに妊婦の患者、etc...とガン治療を取り巻く様々な状況を丁寧に分かりやすく時には重く描いていて、毎話毎話観るのに勇気がいる一方、観終わった後には「観て良かった」という気持ちにさせられる。泣かされることも…。

 

1番グサっときたのは「癌という病気は容赦なく、患者さんの大事な大切なものを奪っていく」「癌患者だってやりたい事やっていい、欲しいもの欲しがったっていいというセリフだ。医療が発展して癌が治る病気になってきた今でも、癌は患者さんの人生を、命を左右するものなのだと改めて感じた。しかしその一方で、癌だからと全てを諦めるでもない。このセリフに腫瘍内科医の難しさと患者さんの苦しみが表れているのではないだろうか。

腫瘍内科は患者さんと向き合う時間が長いからこそこのような問題にぶつかる事が多々あるのだろう。こういった苦しい辛い現実を逃げずに直視し、そして苦しくて辛いからこそ丁寧に優しく視聴者に届くように描いているのが『アライブ』の素晴らしい所だ。

 

 

ストーリーもさることながら、各キャラも非常に個性があり、魅力的だ。

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何か困った時に優しく手を差し伸べ道筋を示してくれる部長の阿久津先生(木下ほうか)、仕事場を明るくしてくれるおちゃらけキャラなのに緩和ケアのスペシャリスト光野先生(藤井隆、不器用ながらも患者に向き合おうとする研修医結城(清原翔、患者との接し方に悩みながらも成長していく同じく研修医夏樹(岡崎紗絵、腫瘍内科のメンバーに愛着が湧いてしまってこのドラマが終わってしまうのが辛い。

特に木下ほうかはこれまでイヤミなキャラクターを多く演じてきたのが信じられないくらい、この信頼できる上司の役が似合いすぎている。彼の代表作と言ってもいいのではないだろうか。

 

そしてこのドラマは人の「強さと弱さ」も描かれていると私は捉えている。

2話の放送終了時に私はこんなツイートをしている。

 

 

松下奈緒木村佳乃という役者から受ける印象も少なからずあったが、この時恩田先生は旦那さんが意識不明の状態にあり自分の身内が命の危機にあるのに何もできないという無力感や憔悴した感じが表に出ているとともに、息子を守り抜く、患者さんに向き合い仕事を全うするという強い意志も感じた。

一方梶山先生は恩田先生を支えながら腕のある外科医として強い女性のように描かれながら何か問題を抱えている、その問題に気付かれないように強い女性を保っているのではないかと感じた。

だからこそこのツイートなのだが、9話が終わった今、私はこう思っている。

 

「強さの裏に弱さがあるのが恩田先生(松下奈緒)であり、弱さの裏に強さがあるのが梶山先生(木村佳乃)ではないか」

 

ドラマを観ていた視聴者なら何となく分かっていただけるのではないだろうか。ストーリーが進むにつれ、恩田先生を強い女性と描く事が増え、梶山先生の弱さが現れてきたのだ。

 

正直私のこの感想が正しいのかは分からない。しかし、人の「強さと弱さ」はそのような物なのではないか。見る視点が変わると見え方が変わってくるのだ。これは患者さんと医者という立場でも同じ事だろう。だから難しい。

 

 

「強さと弱さ」は各話でゲスト出演する患者さんにも見受けられる。これは冒頭紹介した松下奈緒のコメントにもあるように、患者さんとしっかり向き合うからこそ見えてくるものだ。闘病中の患者さん達は誰しも不安を抱えていると思う。腫瘍内科を舞台にしたからこそ、温かく丁寧に患者さんと向き合う過程を描いているからこそ「強さと弱さ」がはっきり見えてくる。そして我々視聴者はそこから登場人物の人となりを知り、彼らへ想いを巡らせ、物語へ入り込んでいくのだ。『アライブ』にヒューマンドラマ要素を強く感じるのはこういった製作陣の細かく丁寧な作りが作用しているからだ。

 

そして「強さと弱さ」を語るなら民代さん(高畑淳子も欠かせない。

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いつも明るく医者を笑顔にし他の癌患者を前向きにさせてくれる、太陽のようなキャラクターの民代さんはこのドラマの主要キャストの1人と言っていいだろう。

 

もちろん民代さんの「強さ」はいつも明るく周りにパワーをくれる事だ。他の患者さんを支える立場にもなっていて、自身の経験から他の患者さんへ勇気を与えている。

では「弱さ」は何か。私はいつも明るく振る舞っている所こそが「弱さ」でもあると感じた。弱い自分を見せられない、冗談で弱音を吐く事はあっても真剣なトーンで弱音を人前で吐いた事が無い(マイナスな発言は何度かあったが、あれは弱音ではなく本音だと思う)、これは民代さんの弱さも表しているのではないだろうか。自分にポジティブにいようと言い聞かせてたのか、弱っている所を見せたくないと強がっていたのか、そこは分からない。ただ、民代さんも明るいだけの人ではないはずだ。

 

 

9話はそんな民代さんの回だった。自分のやりたい事をするために抗がん剤治療を受けずに海外旅行に旅立った民代さんだったが旅先で容態が急変し、病院に運ばれた時には今まで通り明るさを持ちながらも元気な民代さんではなくなっていた。民代さんのあの姿にショックを受けた視聴者も沢山いるだろう。そしてそこからも容態は悪くなり、最後は民代さんの病室で腫瘍内科の医者が集まりパーティーを開くこととなる。民代さんは恩田先生の些細な調子の変化にも気がつく察しの良い人だ。このパーティーが何を意味するか、恐らく分かっていただろう。嬉しくて辛くて、楽しくて残酷な時間だ。それでも民代さんは明るかった。このパーティーが楽しく先生方の心遣いが嬉しかったのもあるだろう。最後の最後まで「強さ」は健在だった。先生方もXRを使い民代さんのやりたい事を出来る限り叶えようとするなど、民代さんの最後の最後まで寄り添い続けた。このドラマの中でも1番と言って良いほどの素晴らしい回だった。

 

 

ここで少し話がズレるが、あなたは「演技が上手い女優」と聞いて誰を思い浮かべるだろうか。

私は大竹しのぶ高畑淳子だ。2人とも言わずと知れた大女優である。

 

大竹しのぶは「憑依型」の女優と言われ、普段のゆったりとした感じからアクションがかかると一変、完全に役に入り込み完璧な芝居をするという逸話を何度も聞いたことがある。ただ、大竹しのぶは恐らく「舞台向き」の女優である。

それでも、生きてゆくというドラマをご存知だろうか。

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彼女はこのドラマ内で瑛太満島ひかり風間俊介といった一流の役者と対峙しながら、格の違いを見せつけてきた。良い意味で強すぎるのだ。テレビで収まる迫力ではない、圧倒された。このドラマは役者陣の凄まじい演技合戦を観ることが出来る。時間があればぜひこちらも観ていただきたい。

 

一方、高畑淳子は完全なる「ドラマ向き」の女優だろう。テレビサイズに収まる中で、実際にその人物が存在するだろうと視聴者に思わせる演技をしてくる。おちゃらけおばさんも、優しさ溢れる母親も、厳しさを感じる姑も、誰かを追い詰める冷酷さを持った人物も、全てテレビサイズで完璧に演じてくる。

 

断言しよう、テレビドラマにおいて日本一演技が上手い女優は高畑淳子である

このドラマでもその高畑淳子の凄みをこれでもかと感じる事が出来る。特に9話は日本一の女優の日本一の演技を見させていただいた。何度観ても損は無いだろう。

 

その9話では製作陣の強いこだわりも感じた。民代さんが亡くなったシーンは映さず恩田先生の涙で間接的に表現し、しかもその恩田先生が見ていた雑誌の記事を読み上げる民代さんのナレーションは元気な頃の民代さんの声だった。

これは民代さんの明るく元気な姿をずっと観てきた視聴者にこれ以上彼女の弱ってるシーンを観せずに元気な民代さんとお別れをさせるという製作陣の気遣いであり強い拘りではないだろうか。民代さんの力強い声に、1つ1つのセリフに、心を震わされた。製作陣は癌という難しいテーマと真摯に向き合いながら視聴者とも向き合ってくれていると感じるシーンだった。

 

 

 

『アライブ』も残り2話となる。この物語の終着点はどこなのか、私たちはこのドラマを観て何を感じ何を学べるのか、癌という現代医療では身近な病をテーマに腫瘍内科を扱ったこのドラマが果たす役割とは、、、終わってしまうのが寂しいが残り2話を待つと共にこのドラマを放送してくれた意義を考えていきたい。

 

そしてより多くの人にこの作品を知っていただきたい。医療ドラマ好きなあなたも、ヒューマンドラマ好きなあなたも、そもそもドラマをあまり観ないあなたも、1度観たらこの作品の素晴らしさを感じるだろう。視聴率という数字だけで語らずに、ぜひこの作品との接点を持って欲しい。『アライブ』はあなたの時間を必ず有意義なものにしてくれるはずだ。