せっきーの日記

ドラマ『アライブ』を語るために始めました。主にドラマについて語ります。

恋愛ドラマに新たな風を!『着飾る恋には理由があって』に視聴者が熱狂する5つの要素とは!

 

 

…あのキャスト発表の方法はなんだったのか。

 

 

ここでピンと来た人、素晴らしい。そう、

『着飾る恋には理由があって』の話だ。

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情報社会の現代で、まさかの「キャストのヒントを出しながら徐々に発表していく」というスタイルを取った本作、ヒント1つ目で横浜流星だと気付くファンたち。そりゃそうだ、推しの事ならほとんどの事は分かる。『コントが始まる』の中浜さんだって、マクベスが結成される前のインタビュー記事まで読み漁っていた。推しの事なら何でも来いだ。そしてそのヒントツイートのリプ欄に集まる人たちのアイコン…(自分が見たところ横浜流星の名前を出している人はいなかったので、ファンの方のモラルは素晴らしい、やっぱりこの発表方法が間違いなのでは…という結論に行き着く)え、これもう確定やん。主役横浜流星やん。これあと何個かヒント出していくだろうけど虚しくならんか?もう分かっとるで?大丈夫かこのドラマ?SNSインフルエンサーがヒロインなんやろ?なにこれ盛大なフリ?


なんて心配をよそに、放送が始まってから見事なまでにハマってしまった私。疑ってごめんなさい。ドラマが面白い。実況が楽しい。星野源が強い。実況が楽しい。


遂に私は、1ヶ月ほど前にブログを書いた作品についてもう一度ブログを書くという暴挙に出る。ちなみにこの記事が私の中で6つ目の記事、実に3分の1がこのドラマについての記事になる。いや大好きやん。


普段はドラマ実況をしてワーワー言ってる私だが、今回は真面目にこのドラマの素晴らしさを考察してみたい。8話で「競馬実況みたい」と言われた私が、実は冷静沈着理路整然とした人間である事を示すためにもこのチャンスを逃すわけにはいかないのだ。冷静沈着理路整然とした文章で、冷静沈着理路整然とした印象を与える。そう、私は冷静沈着理路整然とした人間なのだ。…え、そうやで?…え?


以下、5つのポイントからこのドラマの素晴らしさを語っていく。少々長くなるので目に留まったポイント以外は読み流して頂いても構わない。では、始めよう。

 


1.恋愛を人生の一部として描いている

前回の記事でも書いたが、まず言いたいのはこれ。1にも2にもこれ。この作品を良質な恋愛ドラマとして成り立たせているのは間違いなくこの要素だ。

だいたい最近の作品はなんだあれ!とりあえずキュンとさせておけば良いとでも思ってるやろ!キュンを求めすぎて物語がおかしくなっとるやんけ!!物語に歪みができてキュンすらせんわ!!そうだよ!あなたが今思い浮かべたその作品だよ!!

 

横浜流星演じる藤野駿は過去の失敗(店が上手くいかなかった事)から、一歩を踏み出そうとする時、自分を取り巻く環境が変わってしまいそうな決断を迫られる時、それを避けようとする。それは恋愛に対する姿勢にも現れてくる。思わせぶりな態度を取りながら、しっかりした形を取るまでに時間が掛かったのも彼の失敗が影響している。まさに人生の一部としての恋愛だ。
柴ちゃんだってそう、仕事での傷を癒してくれる人がいるからこその恋であり愛なのだ。
人生経験が恋愛に影響し、恋愛に対する姿勢が人生経験を間接的に表現している。こういうただのキュンだけではない恋愛ドラマを待っていた。

 

 

2.各キャラクター、役者陣の魅力

これは書き出すと止まらなくなるから主要5人について一言ずつ。

 

藤野駿 : 横浜流星
役者横浜流星の最初のブレイクのきっかけが『初めて恋をした日に読む話』だとするならば、更なる飛躍を感じさせたのが本作だと言って良いだろう。クールな役ばかり演じてきた印象が強い彼だが、本作では人生の浮き沈みを時に静かに、時に情熱的に演じている。更に様々な表情を器用に演じきり、「横浜流星は表情の演技の天才」という事を多くの人に知らしめた。先述したが、傷を抱える人間が一歩を踏み出せるようになるまでの過程を綺麗に演じきっている。横浜流星あっての藤野駿、藤野駿あっての横浜流星、と言っても良いくらい、彼の役者人生における代表作になったと言っても誰も文句は言わないだろう。

あ、ちなみに正確にはこのドラマに逆オファーを出したのではなく、このドラマのプロデューサーと表彰式で一緒になった時に「いつかご一緒したいのでお願いします!」と言っていた所、本作の企画の段階でプロデューサーが横浜流星を指名したとか。

 

真柴くるみ : 川口春奈
こんなに好感度が高いヒロインはそうそういない。仕事にも恋愛にも一生懸命でブレない。ここが強い。例えば向井理社長が解任されたあの時、下手な恋愛ドラマならヒロインは仕事を投げ出して社長の元へ走っていく。下手な恋愛ドラマならエスパーのように向井理の居場所を当て、一瞬で彼の元に辿り着く。だがそんな事はしない。なぜなら恋愛を人生の一部として描いているドラマのヒロインだから。社長が本気を出してきたドラマ終盤回でも一切そっちになびかない。藤野さんをずっと好きでいる。当て馬ポジションの人間を当て馬にすらさせないヒロインの一途さは素晴らしい。

川口春奈という女優の素晴らしさはもう今更言う事ないだろう。時に美しく、時に可愛さを消してただの1人の女性として、時に綺麗な涙を流し、時に飾らない汚い泣き方も出来てしまう、等身大の真柴くるみを演じられる若手女優さんってそうそういないのではないだろうか。彼女の枕詞に「視聴率が〜」みたいな文言を付けて記事書いてた人とか今どんな気持ちなんだろう。こんなに素晴らしい女優さんなのに。


寺井陽人 : 丸山隆平
ごめんなさい、丸山くんはバラエティ班の人だと思ってました。人生の難しさや苦しさも描いていくこのドラマにおいて、懐の深さや温もりを感じさせるこの役は出番の多さとか関係無く重要な役のはずだけど、これを完璧に演じられるのは凄い。あまりジャニーズの人がこのポジションで輝くのを観た事が無いが、役者丸山隆平の力を最大限に発揮できる方向性が固まったのではないだろうか。完全にハマり役だった。


羽瀬彩夏 : 中村アン
まずなにより今の髪型めちゃくちゃ良い。クールビューティー最高。
羽瀬ちゃん回だった4話、あの涙のシーンは凄まじかった。自分の芸術活動を人生を変えてしまうかもしれない妊娠疑惑。夢を諦める事の怖さを想像しながらも、好きな人との最後の繋がりを保てるという希望でもあっただろう。それらが全て無くなった。夢を追いかけられるという嬉しさ、周りの人の温かさ、そして好きな人との繋がりが無くなったという悲しみ、自分の体の中に命が宿っているかもしれないと想像してからの日々、それらが入り混じった複雑な涙を綺麗に表現していた。あれほどの涙のシーンは今まで見た事がない。このドラマの1番好きなシーンを挙げろと言われたら迷わずにこのシーンを挙げる。
あの涙を見てるからこそ、時に出てくるデレの要素に翻弄されてしまう。もう中村アンの掌で転がされている。

 

葉山祥吾 : 向井理
あんたが好きだぜ葉山社長!!1話で「お、これは良い向井理が堪能できそうだぜ!!」と思ったらすぐいなくなったな!?あの後の4話くらい?『向井サブリミナル理』なんて面白おかしく言われていた時間?あれがどれほど苦痛だったか分かるか!?1時間のドラマより15秒のCMの方が登場時間長かったぞ!?雨の中走るシーンが予告で流れて遂に見せ場が来るかと思ったら回想って!!回想かい!!過去の思い出かい!!今出てこい!!みんな待たせたな〜過去の向井理登場やで〜じゃないねん!!今の姿を見せろ!!んで遅い!!本気を出すのが遅い!!ここに来て2週連続で星野源を背負えたけどもう遅いぞ多分!!せめて4話くらいで一回背負っとけ!!お前が普通に振る舞ってれば真柴ちゃん落とせたかもしれんのに!!どうせ最終回では駿と真柴ちゃんを祝福してるんだろうな!!爽やかな笑顔でな!!また視聴者を熱狂させるんだろうな!!あーーーーあ!!あああああ脚が長い!!スタイル良い!!顔小せえ!!支離滅裂になってしまった!!クソったれ!!!

ふぅ、冷静になろう。向井理が演じているからこそ葉山社長の誰とでも仲良くなれる人柄や社員から尊敬されている頼りがいが十二分に表現されている気がする。10話の最後、真柴ちゃんが社長を頼って抱き締められるあのシーン、真柴ちゃんは葉山社長の事が好きだからではなく、「頼れる人」「尊敬できる人」だから彼の元に向かったのだと誰もが悟ったはずだ。あれほどまでに魅力的な男が恋愛の対象ではない事に説得力を持たせるってこんなに難しいことは無いのではないか。脚本の力、演出の力は勿論だが、向井理という役者の魅力が伝わってくる素晴らしい役だ。


…あとジャケットバサー鳥さんバサーのシーンはあれなんやったん!?てっきり何かの伏線かと思ってたよ!?

 


3.「シェアハウス」という設定の妙

当然の事を言うが、恋愛には「プライベート=オフの共有」が必要だ。もちろん「職場=オン」で生まれる恋もあるだろう。だがやはりその恋を発展させるにもオフの共有は必要になってくる。いわゆるお仕事ラブコメでは職場でキャッキャウフフするシーンもあるが、「職場で何しとんねん!こっちは仕事からクタクタで帰ってきてるのにお前らはキャッキャウフフしてるんか!!」というツッコミが聞こえる事がある(決して私ではない。…私ではない!!)。

そういう意味では「シェアハウス」という舞台では常にオフを保てる状態が自然と出来上がっているのだ。冷蔵庫前での衝動キスも、壁ノックでキュンとするのも、全てオフの共有が出来る設定だからこそ生まれたシーンだ。

オフの時間を好きなように取れる舞台だからこそ、多様な恋愛描写が可能になる。恋愛ドラマにおける舞台設定の効果をまざまざと感じさせられるドラマと言えるだろう(この枠で個人的に好きだった『逃げ恥』も『カネ恋』もオフの共有という要素があった事を付け加えておく)。


4.効果的な演出
名実ともに日本を代表する方々が演出やプロデューサーを担っている本作、効果的な演出がいくつも見つかる。

まずは料理シーン。カット割りから映し方から音楽から、オシャレな演出に胸が躍る。ラブコメというジャンルながら、料理シーンが好きな方も多いのではないだろうか?そしてあの演出があるからこそ、駿の料理人としての実力も相応に見える。だが一度思い出して欲しい。彼が仕事として料理をしているシーンがどれだけあっただろうか(ここ2話くらいになって本気で取り組むようになったが)。彼が「料理人」として奮闘する姿は視聴者のイメージほどは描かれていないのだ。にも関わらず駿の料理の腕に疑問を抱く人はそうそういなかったはず。それを可能にしているのは紛れもなく演出の力だろう。

 

そして特に好きで唸ったシーンが5話だ。

Fuji Balから身を乗り出して真柴ちゃんにキスするシーンは、「横浜流星体幹www」と一部で話題にもなっていたが、これは彼が過去のトラウマを乗り越えてこの恋に本気になった事を表現するシーンだった。そして本作恒例の「あの時実は…」のシーンでこれが分かるように構成してるのも本当にズルい。

4話で両想いが確定して更にラブが加速するかと思われたこの回の構成は、

お散歩デートに行く→駿が「真柴ちゃんはただのお隣さん」と言ってる事を真柴ちゃん本人が聞いてしまう。→他の事件が起こる→落ち着いて2人きりになった時に真柴ちゃんが自分の気持ちを伝える→Fuji Balから身を乗り出してキス

というものだったが、「あの時実は…」で駿が「真柴ちゃんの中にはまだ社長がいるから。だから、これ以上は何も言えない(ただのお隣さん)。気持ちが残ってるうちは、やめとく。」と言っているシーンを入れる事で、Fuji Balから身を乗り出してのキスが『駿がこの恋に本気になるためにアクセルを踏んだ瞬間であり、文字通り映像通り、身を乗り出した瞬間だった』というものを表すシーンだと受け取った。

このような効果的な演出が随所に見られる本作、ドラマの完成度を数段階アップさせているのは演出陣の力だろう。

 

5.星野源の圧倒的な存在感
画面に映らない人史上1番存在感ある。なにあれ、もう出てるやろ。ドアップで歌ってるやろ。犬と歩いてるシーンってあれドラマの中だっけ?MVだっけ?星野源があの家で犬と戯れてるシーンとかあったっけ?

星野源チャレンジ』だの『星野源タイム』だの『おいげん』だの、様々な呼称を付けられたあの時間。星野源を背負ったものが物語を制すと言われているあの時間。もうあれ無しではいられない。一度経験したら抜け出す事はできない。


圧巻だったのは8話。星野源が歌い出す、横浜流星向井理が我こそと走り出す。星野源が気持ちよく歌う、横浜流星向井理は息を切らしながら走る。星野源がサビを歌う、横浜流星向井理は「やばい!そろそろ『おいげん』タイムが来てしまう!!」と更にスピードを加速させる。さあ、どっちだ!!どっちが星野源を背負うんだ!!

 

 

 

 

トラックの奥から微かに見える長い足、現れる向井理!!


星野源「♪遺らぬ言葉の中に〜♪」

 

 

 

キターーー!!遂に向井理が背負ったぞーーー!!シャーーオラーーーー!!!

 

記念すべき時間!後世に残したい瞬間!!忘れられない快感!!!繰り返し観たぜ散々!!!イエーーー!!

 


このシーンの実況について「競馬みたい」だの「運動会の徒競走みたい」だの言われているが、むしろそうなるべきなのではないだろうか。運動会の徒競走では『天国と地獄』ではなく『不思議』を流せば良いのではないか。ゴール付近に学校のマドンナに立ってもらえば白熱したレースが繰り広げられるのではないだろうか。

そんな事を思ってしまうほど、このドラマにおける星野源の存在感は凄まじい。『不思議』の力はとてつもない。キスにも涙にも映える主題歌ってなんなんだろうか。某脚本家さんが「今主流だけど、主題歌が本編を邪魔するのが嫌。どっちも勿体無い。」なんて言ってた事があったが、このドラマを観ていると思う。主題歌がドラマを盛り上げ、ドラマが主題歌を彩るのだと。

 

 

 

さあ、恐らく書こうと思ったらまだまだ幾らでも魅力を書けるだろうが、ひとまずここまで。このドラマを作り上げる様々な要素に魅了され続けた3ヶ月がもう終わろうとしている。残すは最終回のみとなった本作、果たして結末は。『大豆田とわ子と三人の元夫』と一緒に火曜日を盛り上げてくれた『着飾る恋には理由があって』、最後はみんなで着飾らずに自分の思いの丈や興奮をそのまま表現しよう。実況や感想で盛り上がろう。そしていつか、自分の夢でもあるドラマオフ会を開催できた時、このドラマの魅力を沢山の人と語り合いたい。盛大に着飾った格好で。

 

 

 

拝啓、星野源

この度は素敵な楽曲をありがとうございます。自分の人生をこの楽曲に乗せながら、すでに100回以上は拝聴させて頂いております。
さて、不躾なお願いだとは重々承知しておりますが1つお耳に入れていただきたい事があります。
先述した通り、『不思議』を何度も拝聴させて頂いております。その中でも、毎朝通勤時には必ず聴くようにしております。しかし、この作品において絶大な効果を誇るこの楽曲が、私の恋愛には全く関与してこないのです。毎朝毎朝、星野源を背負う気持ちで聴いています。今日は何かあるかな?キュンとする瞬間はあるかな?恋が走り出すかな?そのような事を思いながら『不思議』を聴いています。しかしあなたは私の背中に乗るどころか背中すら見ていません。やはり星野源を背負えるのは横浜流星向井理だけなのでしょうか。私のような若造には背負いきれないのでしょうか。イケメン俳優限定なのでしょうか。もちろん、あなたを背負いきれるほどの人生経験や器量は無いのかもしれません。ですが、少しくらい、チラッと見るくらいで良いので私の背中を認識していただけないでしょうか。なんなら背中にニューシングルを貼り付けておきます。これであなたの目にも留まるでしょうか。
嗚呼、星野源様。別に多くの事は望みません。『不思議』を聴いている私の背中を、あなたの目に。私の人生に星野源の力を。
嗚呼、星野源様。愛と敬意を込めて。

敬具